アルミダイカスト製品に塗装はなぜ必要なの?

作ったままの状態だと、見た目がちょっと地味だったり、時間がたつと表面が酸化して白っぽくなったりします。

そこで登場するのが「塗装」です。

そのアルミダイカスト製品にどんなふうに塗装処理がされているのか、何のためにするのかを、わかりやすく紹介します。

「アルミダイカスト」ってなに?

「ダイカスト」というのは、金属を高い圧力で金型に流し込んで形を作る製法のこと。

特にアルミニウムを使ったものが「アルミダイカスト」と呼ばれています。

この方法で作ると、細かい形もキレイに再現できるし、たくさんのものを早く作れるから工業製品にピッタリなんです。

でもそのままだとちょっと困ることが。

アルミダイカストは塗装しないとどうなる?

アルミ自体はサビにくい金属ですが、空気中の水分や酸素と反応して表面が酸化します。

つまり、放っておくと白っぽくなったり、粉が吹いたような感じになったりするんです。

それにダイカストで成形した直後の表面は、ちょっとザラつきがあったり、ムラがあったりすることも。

だから見た目を良くしたり、耐久性をアップさせたりするために、「塗装処理」がされるんです。

塗装処理はどんな工程があるの?

①表面の洗浄・脱脂

まず、ダイカストでできたばかりの製品の表面には、油分やホコリ、酸化被膜がついています。

これをまずキレイに落とすのが最初のステップ。

たとえば、アルカリ性の洗浄液やバレル処理をして、表面をサッパリさせます。

これをしないと塗装がうまくのらないんです。

②化成処理(かせいしょり)

次に行うのが「化成処理」これは、塗装のノリをよくするために表面にうすい膜を作る処理のこと。

昔は「クロメート処理」というしょっと毒性のある方法が多かったけど、最近は環境にも配慮して

「ノンクロム処理」などが主流になってきています。

③下塗り(プライマー)

いよいよ塗装に入りますが、いきなり本塗りはしません。まずは「プライマー」という下塗り塗料を使って、

上に塗る塗装がピタっと密着するようにします。

このひと手間が、塗装のはがれ防止につながるんです。

④本塗装(本塗り)

本番の塗装です。色をつけたり、光沢を出したり、ザラっとした質感を出したり、いろんな表現ができます。

使われる塗料は、ウレタン塗料、アクリル塗料、エポキシ塗料などがあり、製品の用途や求める

性能に合わせて選ばれます。

⑤焼付or乾燥

塗装が終わったら、乾燥または焼付け(高温で硬化させる)をして塗膜をしっかりと定着させます。

この工程がしっかりできていれば、長持ちするし、キズにも強くなります。

塗装以外の処理もあります。

ちなみに、アルミダイカストの表面処理は塗装だけじゃありません。

たとえば、

・アルマイト処理:耐食性や装飾性がアップする酸化皮膜処理

・電着塗装(カチオン塗装):電気の力で塗料をつける方法。自動車部品などに使われる。

・粉体塗装:粉状の塗料を吹き付けて焼き付ける方法。環境にやさしい。

など、用途によっていろいろな加工が選ばれているんです。

アルミダイカストに塗装する理由

1. 見た目をキレイにするため

2. サビや劣化を防ぐため

3. キズや汚れに強くするため

4. 製品の付加価値を上げるため

アルミダイカストはただの金属かなくて、「どう仕上げるか」で魅力も変わるんです。